コグニサイズが国や病院やテレビでも推奨されてる

コグニサイズが認知症予防の運動として紹介され始めたのは2014年で、書籍や動画やテレビが主な発信元です。 開発されたのは、国立長寿医療センターという国の研究機関で臨床試験のもとに考案された運動方法になります。 コグニサイズの運動も、「しりとり」「じゃんけん」「クイズ」など様々な脳トレをしながら体を動かすメニューが多く存在します。

国立長寿医療センターでは、デイケア―サービスでの利用や高齢者が集まる場所でコグニサイズを認知症予防の運動として拡散して欲しいと公式サイトで謳っております。 2020年現在でも指導者育成のセミナーを開催したりしてます。 認知症の根本治療は、医薬品や手術でも効果のある方法が見つかってなく、介護施設では何かしらの手立てとして国が開発した運動を推進する機関が多いのだと思います。


参考:どうすれば…認知症予防 | NHK

NHKでも2019年5月に認知症の予防としてコグニサイズを紹介しております。 この中で開発された島田裕之博士は下記のように仰ってます。

現時点で『これをやったら認知症予防できる』『発症、先送りできる』とした明確な研究はない。

こちらは脳の萎縮度を示している。 運動しなかった人は、わずかに萎縮する領域が増えた。 要するに脳がやせていった。 それを保持する効果がありそう。

言っている内容から分かるようにコグニサイズが認知症の予防に効果がある自信があればこのような弱気な発言ではないはずです。 現在の医学で予防・治療する手段が見つかってなく、少しでも可能性があるかもしれないエビデンスが低いのに運動を意味もなく進めているということになります。

コグニサイズの臨床試験は軽度認知症の50人が対象だった

参考:(英文)健忘性軽度認知障害のある高齢者の認知機能に対する多成分運動の効果

臨床試験の参加者は65~93歳の軽度認知症の50人(男性27、女性23)で平均年齢は75歳です。 この50人で1年間コグニサイズを行った結果、いくつかの項目で測定して関連性が強くあったかどうかの実験です。 まず大きな点として、「軽度認知症が前提であり、1年後に進行してないかをチェックする」というのがコグニサイズのエビデンスになります。 正常で健康な人が酷くならない為の予防ではなく、既に診断された人がゆっくりと進行するには何が必要かという改善策です。

1年後の結果でコグニサイズが効果があった要素と無かった要素があります。

コグニサイズで効果が無かったもの

  • 血液検査による脳内のアミロイドβ(認知症の原因)の量
  • 非健忘型認知症の脳萎縮
  • 文字流暢性

コグニサイズで効果が認められたもの

  • ウエクスラー記憶検査
  • 言語流暢性

臨床試験では対象者が50人と少ないのは実験としてエビデンスが低いと思われても仕方ありません。 また平均年齢が75歳で、効果があったという分野が明確に数値化できる「アミロイドβの量」「脳萎縮」ではなく、言語記憶や流暢性といった曖昧な分野での成果でしかありません。 全く効果が無いとは言いませんが、2011年という古い実験1回だけで効果の度合いも曖昧な状態で、国立研究所がコグニサイズを認知症予防の運動に良いと推奨するのに違和感を覚えてしまいます。

国立長寿医療センターとは何?

参考:国立長寿医療センター

場所は愛知県にあります。 元々は普通の病院だったのが、独立行政法人になり長寿を研究する国の機関になり、2015年に国立研究開発法人となりました。 国立研究開発法人とは、新しい法律施行の元で設置されたもので、研究開発を主軸に置いた政府等から独立した存在の部門と位置付けられます。

国立長寿医療センターでは、寄付のお願いのページがあります。 そこには、下記のようにあります。

法人自ら財務内容の改善を図って経営することが要請されており、センターでは税法上の特定公益増進法人として、企業や個人の皆様方からのご寄付をお願いしております。

営利を追求しないと存続が危うい機関となると、何らかの研究成果がないと存在意義がないということなのでしょうか。 コグニサイズの拡散が国立長寿医療センターの営利になっているとまでは言わないですが、成果としての主張が強く本当に効果があるのかどうか受け入れがたく思ってしまいます。

認知症疾患診療ガイドライン2017にコグニサイズは載ってない

参考:認知症疾患診療ガイドライン2017

日本で作成された認知症のガイドラインの2017版で、コグニサイズの文言を探したのですがありませんでした。 ガイドラインでは、「検査」「治療」「経過」などに分けて長文で作成されて、「喫煙は避ける」「メタボリック」「血圧」「食事方法」等が書かれております。 しかし、「運動」という欄はありますが、国立長寿医療センターが提唱したコグニサイズについては言及しておりません。 ガイドラインでは委員長・副院長は別の機関の博士で、委員に1名国立長寿医療センターの方が載っております。 また、国内では認知症予防の研究機関は複数ありますが、コグニサイズの言葉を他所の研究機関では使用しておりません。 つまりは、コグニサイズが認知症の運動に良いとは他の研究機関は正式には認めてないのだと思います。

【まとめ】

認知症の予防に運動が一番良いのは、WHOが2019年に発表した通りで間違いないと思います。 ただ、コグニサイズというものが臨床試験のエビデンスも弱いのに盲信のごとく、行政で拡散されているのが不思議に思えました。 発表されたのが2013年と古いのを考慮すると、運動であれば問題はなくWHOが推奨する「週に150時間」「少し負担が強めの有酸素運動」という方が信頼できると思います。

認知症の進行を遅らせれる研究論文を探しました

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